熊野古道を歩いてみました(2)
2013/12/03
さて、ツヅラト峠への入り口に立ち、とりあえず進んでみることにしました。時間は2時。1時間ほど歩いて、引き返して来れば安全だろうと、一応暗くなる前には車に戻る算段をつけて出発。道沿いのモミジが見事なグラデーションでとても美しい姿です。しばらく歩くとモミジの木の数が増えてきました(楓かな?)。同じ間隔で植えられているいかにも人為的な配置にやや興ざめしながら先へ歩を進めます。
とても険しい道です。一人で来たからいいようなものの、誰かと一緒に来ても「楽しく山歩き」なんてとてもとても。せいぜいお互いに励ましあったり支えあったり、まあそれはそれでいいのでしょうが、私は一人で進みます。踏み外せば滑落大けが間違いなしの急なのぼり道。11月の山の空気はさわやかです。それでもセーターの上に羽織ってきたジャンパーを脱ぎ、さらにセーターを脱いでシャツ1枚です。あまりよろしくない格好ではありますが誰もいないのですから構わないでしょう。
ぜいぜいと息を切らしながらとにかく進みます。時々意識して立ち止まり、風景に目をやります。歩きながら風景を楽しむ余裕なんかほとんどありません。第一しっかりと足元を見ていなければ危なくってしかたがありません。本当に危険な道なのです。でもせっかく来たのだから、と風景を満喫します。古い時代の生活道路だそうですが、昔の人はいったいどんな思いでこの道を通ったのでしょうか。私には鍛錬でしかありません。
そんなこんなで峠の頂上に到着。大したものはありません。風景はまあ、たしかに海が見えるけど・・・。
帰り道は早い早い。あっという間にふもとに到着。ただし、スニーカーでは石のごつごつが直接足の裏をたたくのでかなり痛い。しっかりとしたトレッキング用の靴を履いてくるべきでした(持ってないけど)。
しかしこの山肌を埋め尽くす何百・何千もの杉の木の姿は実に凛として、存在感にあふれていました。そこに人間がいてもいなくても、雨でも雪でも、そこにそうしてすっくと立っているのでしょう。実に気持ちの良い姿です。
へとへとになってふもとに降りて、モミジ(楓?)の木々に迎えられます。そのグラデーションの美しさは疲れをそっと癒してくれます。これからは人為といわずに「文化」と呼ぶことにしよ。(感謝)
車に乗り込みホッと一息。文明の利器にまた感謝。カバンからカフェオレとチョコレートを取り出し、至福の時でした。