ハードル
2015/05/30
ちかごろ料理が面白い。
繊細さのかけらもない、タッパに詰め込んだだけのサンドイッチ弁当から、ビジュアル的に耐えがたい、ただまっ黒なカタマリとしての焼きそば弁当。出来合いの野菜サラダに出来合いのマカロニサラダをまぜて、ボトル入りの胡麻ドレッシングで混ぜる。スーパーの助六寿司を一緒に入れて、っ見た目にはま~これがナカナカ・・・。
こう書いてみるとえげつない食べ物のようだけれど、やっている本人としては何よりも楽しいヒトトキであったりもする。がしかし、やはり2週間で飽きた。
何かまともなお弁当のおかずを作りたい。
ふと脈絡もなく『筑前煮』の姿が浮かび、ネットで作り方を調べてみた。(思い浮かべたそれが『筑前煮』なるものであるとわかるまでに数日かかったのだけれど、)これならいけそうだということで材料を買いそろえる。。男の料理の無責任なところだね。材料はわかっていても、その必要量や調味料のことなど「なんとかなる」としか思わない。(何とかなるのだけれども・・・)
とにかく帰宅して台所に立ち、ネットで調べたとおりに・・・ではなく、ダイタイそんな感じで調理開始。あれとこれと、たしかこれだなっ てな感じで順調にことは進んでいた・・・のだが。
なんだこの鼻の奥をツク刺激臭は?? ありえない、想定されていないものの正体というものはなかなかつかみづらいものです。まさかと思ってみりんのビンを手に取ってみるとそこに記してあったのは、「 酢 」。
なんだな。地図も持たずに旅に出かけて、聞きかじった道順を頼りに進んでいたはずなのにどこかで間違えたなと気づく。そんな瞬間に似ているな。来た道を戻ろうにもそれさえ分からない。そもそも鍋にぶっ込んだ調味料を相手に戻る道などありはしない。中断して、鍋一杯の肉と野菜を廃棄するか、あるいはとにかく活路を見出すまで前に進むか。
ということで、どんぶりイッパイに盛り付けられた件(くだん)の料理ですが、結論から言えば「食えないことはない」。 “ウソだろ!”と、お思いでしょうが、自分の作ったものは少なからず疑問があってもだいたいおいしくいただけるものなのですよ。みりんと「 酢 」をたっぷり間違えたくらいでは、違和感はありますが、大丈夫。3日間で完食。
次はもう少しハードルの低いものを選びたいと思いました。