Shin塾
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TOSHIYORI

TOSHIYORI

2016/02/26

 「ジュウがあるから取りにきなさい。」という母親からの突然の電話に、一瞬何を言っているのかわからなかった。どうやら“銃、ピストル”らしい。母によれば、10年以上前に私が友人から預かったものを実家に置いたままにした、ずっと忘れていたが納戸を整理していたら出てきた、銃弾も何発か入っているから本物だ、というのである。私としては全くその記憶はない。確かに20代のころ一時期でたらめな生活をしていたが、だからと言ってさすがに本物の拳銃なんか扱ったことはない。とはいえ、酔った勢いでやらかしたバカも枚挙にいとまがない。自宅ではなく実家の母親に預けたというのも変なリアリティーがある。放っておくわけにもいかず時間を見つけて実家を訪れたわけである。
 両親に形通りのあいさつを済ませ、さて問題の拳銃は。と、油紙で包まれた三角形のものかと思えば、出てきたのはあからさまにモデルガンの箱である・・・。しかし中身は母親の言う通りかもしれない。箱は重い。開けてみる。なるほど黒光りをしたモノが数発の弾丸らしきものと一緒に入っている。母親が気味悪がるのも理解できる。が、である。そこに入っていたのは、日本語でイラスト付きの取扱説明書。銃口にはしっかりとバーが入っていて、今時こんなものではコンビニ強盗の役にもたたないだろう。そもそも拳銃を買うと商品名の入った箱と日本語の取説がついてくると、本気でこの人たちは考えていたのだろうか。冗談のつもりなのかと両親の顔色を窺えばどうやらそうでもないらしい。説明した後の安堵の表情を見れば、それなりに不安な数日を過ごしたのだろうと想像もできる。まったく、年寄りとはカワイイものである。

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