Shin塾
お問い合わせはこちら

クリスマス・イヴ

クリスマス・イヴ

2016/12/28

 12月24日、朝食をとりながら見る朝のニュース。名古屋市科学館ではぬり絵が走り出し泳ぎだす特別なテクノロジーが展示されているらしい。車に乗り込み、いつもと変わらないいつものコンビニで買ったコーヒーを飲みながら仕事へ向かう。ラジオから流れる音楽がそうさせるのか。いつもと変わらない街を往く人たちがなんだかいつもより楽しそうだったり、いつもより寂しそうだったり。
 山下達郎や松任谷由実が歌う定番のクリスマスソングは、20年以上前の気持ちを思い出させる。毎年一度、必ずやってくる特別な日だった。それが本当に「特別」だったなんてそのときは思いもしなかったな。
 今日は昼で仕事を切り上げて、約束していたフライドチキンを買いに。覚悟していたことだが、お店で並ぶこと3時間。スタッフの皆さんは猛烈な忙しさの中でてきぱきと動きながらも時々交わす軽口を忘れない。そういえば昔オムライス専門店でコックをしていた時、忙しくなると余裕を失ってしまい、かえってうまく進まなくなってしまっていたっけな。どんな時もアソビを失わない。今の若者気質なのか、お店のマニュアルなのかわからないけど、そっか、これでいいんだ。
 ケーキ屋さんに寄って予約しておいたクリスマスケーキを受け取る。
来年成人になる息子が自慢のポトフをテーブルの真ん中に据えた。ゴロゴロのポテトサラダは娘のリクエストらしい。フライドチキンとバケット、シャンパン。絵に描いたようなクリスマスディナーが並ぶ。

 僕たちが子供のころ、おもちゃのロボットは話すことができなかった。でも話し相手だった。塗り絵は動きだしたりしなかった。でも命を感じた。クリスマスディナーはテレビドラマの中にしかなくて、憧れだった。サンタクロースはいないと知っていた。それが当たり前で、楽しいクリスマスだった。
 今、昔の夢物語の多くが現実の姿で僕たちの前にある。これを進歩と呼ぶのだろう。そしていま私たちが描く夢物語も「進歩」がいつか現実にするのだろう。失ってしまったものを除いて。

 若者たちよ、進歩を否定する必要はない。それは楽しめばいい。夢を夢想と笑い飛ばすことはない。それはいつか姿を現すだろう。そして何も持っていない今を蔑んではいけない。それは失われ、おそらく二度と戻らない。

 

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。