「日展」に行ってきました。
2020/02/16
同じ高校で書道を教えている先生の作品が今回「日展」に入選されたということでチケットをいただきました。展覧会は何度か行ったことがありますがもう10年以上前のことですし、一人で行くのは今回が初めてです。玄関を出たとたんに例の「億劫虫」が背中を引っ張ります。車で行くことも考えましたが、混雑する街中を走る気疲れも嫌で電車を使っていくことにしていました。駅まで自転車をこいで、電車を乗り継ぎ愛知家芸術センターまで約1時間。出発前から気がめいります。文庫本をカバンのポケットにいれ、さて出発。立っていたり歩いていたりで本を読む余裕はほとんどありません。普段 DOOR to DOOR の車通勤ですので、目的地に到着した時にはすでにいい運動量でした。
会場に入るとすぐ無料ロッカーの案内があり、上着と手荷物はその中へ。身軽になって観覧できるわけで、なるほど展覧会も進化しているのですね。会場はその日が休日ということもありなかなかの人の数です。最初は絵画のエリア。前を行く人たちに倣って2メートル四方ほどの絵画を見ていきます。そして次の部屋へと進むのですが、そもそも私に絵画など理解できるはずもなく、またここに来るまでの運動量も堪えて10点ほど見た時点で疲れてしまいました。次のその部屋はかなり広い部屋で、真ん中にゆったり座れる椅子が置いてありました。私と同じような人も多いのかしらんと思いながら一休みです。私と大きな絵画の間を多くの人が横切ります。その時気づいたのですが、絵画を見る距離はこれくらいがちょうどいいのではないかと思うのです。近くで見たところで細かい技法などわかるはずもない。どの絵も入選した素晴らしいものばかり(のはず)です。あとは自分の「好き」か「嫌い」かを基準に、それこそ自分勝手に「眺め」ていくことにしました。これがなかなか楽しめました。ただ、作品から3メートルほど離れて見ていくので他の観覧されている方たちの流れに合わない、というかおそらく邪魔ですらあったかもしれません。私にしても、それだけ離れて見ていると、私の前を多くの人が通るわけですから、絵の全体を見られる時間はほとんどありません。でもまあ、そこは一人で来ているわけで、その瞬間が来るまでのんびりと絵の前で待ちます。絵を見る時間が楽しいと初めて実感しました。
次は彫刻のエリアです。ここでも同じように距離をとって眺めていましたが、ここはいけませんでした。何一つ気に入る作品がありません。私は彫刻には完全に向いていないとはっきりわかりました。次は目的の書のエリアです。書道は少し経験もありますが、そんなことは忘れて気に入ったものを選んで眺めていました。
「離れて見るのは一つの見方、来るなら平日の人の少ない時、一人で。何より、私でも芸術を楽しめる。」
大きな収穫を得たひと時でした。