英語で金言・名言を読む
2023/02/16
Joseph Conrad
Shin訳) 君も知っているように私は嘘が嫌いだ。ほとんど憎しみを感じるともいえる。我慢できないんだ。それは何も自分が誰よりも正直だからだというのではない。単純に嘘がおぞましいんだ。そこには死を思わせる汚れがあり、死の予感そのものも付きまとう。大嫌いで、憎むべきものだ。考えたくもない。
近頃なんだか人の言葉が素直に信じられなくなってきた。いや、ちょっと違うな。相手が真実を語ってくれることをほとんど期待しなくなってきたというべきか。未来を語る言葉には、予定の変更や不測の事態が付きまとう。現在を語る言葉にも解釈や受け取り方の変化が予想される。ある人が語る言葉が間違っているとしても、その人にとってはそれが真実だったりもする。明らかな嘘はほとんどの場合、その人自身を含め誰かを、何かを守ろうとしている。小生自身がその人の嘘によって守られることだってある。
信じてはいない。だけど疑うことを放棄している。小生を傷つけるために嘘を言う人は、小生の周りにはおそらくいない。
養老孟司さんだったと思うけど、こんなことをおっしゃっていた。誤解を解くために何かを言っても無駄である。誤解しているその人にとってはそれが真実なのだから。そして、そもそも誤解を解こうとするということは、どこかに真実があると考えているからだ。だけど本当の真実なんかどこにあるのだろう。
真実がない、であれば嘘もない。